乳腺疾患一般|船橋市の乳腺外科 | 東船橋駅徒歩3分の船橋乳腺クリニック

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乳腺疾患一般

乳腺疾患一般|船橋市の乳腺外科 | 東船橋駅徒歩3分の船橋乳腺クリニック

乳腺疾患について

 

胸を抑える女性

乳房には、乳がんをはじめとする様々な病気が発生します。
悪性疾患の代表は乳がんであり、乳がんは女性が最も罹患する可能性の高いがんです。
年々増加傾向にありますが、早期に発見して適切な治療を行えば再発させない可能性が高い病気ともいえます。そのため定期的な検診の継続と、日頃のセルフチェック、そして気になる症状が現れたときは、すぐに乳房を専門とする乳腺外科を受診する事が重要です。
乳房には乳がん以外にも乳腺炎や乳腺症、嚢胞、乳管内乳頭腫、線維腺腫、葉状腫瘍といった様々な病気があります。
「乳房や脇のしこり」、「乳房の皮膚の窪みや発赤」、「乳頭のただれや陥凹」、「乳頭からの分泌物(妊娠・授乳期以外)」などの自覚症状がある方、乳がん検診や人間ドックなどで要精検、要経過観察と診断された方、そのほか乳房で気になる事がある方は、お気軽にご相談ください。

乳腺疾患でよくみられる症状

  • 乳房にしこりがある
  • 腕を挙げたときに、乳房に「えくぼ」や「ひきつれ」がある
  • わきの下にしこり(硬いリンパ節)や腫れがある
  • 乳房全体が赤く腫れたり、ほてりがあったりする
  • 乳房の左右サイズが変化した
  • 乳房に潰瘍ができて治らない
  • 乳頭から分泌物が出る
  • 乳頭にびらんやただれがある

日常的に起こりやすい症状でも、詳細な検査を行う事で重大な病気の早期発見につながる事もよくあります。心配な症状やお困りの事があれば、一人で悩まず何でもお気軽にご相談ください。

乳腺疾患で行われる主な検査

乳房の基本検査

  • マンモグラフィ(乳房X線検査)
  • 乳腺超音波検査(エコー検査)

臨床症状や画像所見に応じて追加で施行される検査

  • 穿刺吸引細胞診
  • 組織生検(針生検、切開生検)
  • 分泌物に対する捺印細胞診
  • ステレオガイド下生検

手術や治療のために追加で施行される検査

  • 胸部造影CT検査
  • 乳房造影MRI検査

主な乳腺疾患

乳がん (Breast cancer)

乳がんの主な症状は、乳房のしこりです。このほかに見た目でわかる異常所見としては、乳房のくぼみ、発赤、乳頭の変形や分泌物、左右の乳房のサイズの変化などがあります。
日本人女性の場合、閉経前後の乳がんが多いという特徴があります。40代後半から50代前半に発症のピークがあり、30代後半あたりから増加するとも言われています。とくに肥満の人、初潮が早く閉経が遅い、初めての妊娠・出産が遅い、出産回数や授乳経験が少ない、乳がんの家族歴がある、良性の乳腺疾患になった事がある、このような方がかかりやすい傾向にあるとされています。
なお、65歳以降に再上昇の傾向もあり、60代、70代でも乳がんの患者さんは多く見受けられますので、お元気であれば検診等を受けておく事はお勧めします。

乳がんの治療は手術、化学療法(抗がん剤)、内分泌療法、放射線照射の4つの治療の組み合わせとなります。乳がんの場合はステージより性質(バイオロジー)を優先して評価しますので、バイオロジーの結果で抗がん剤の必要性等を判断していく事になります。
このバイオロジーは乳がんのホルモン感受性(エストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター)とHER2蛋白の発現状況、増殖能の評価(核グレードやKi-67)で判断する事が多く、バイオロジーの結果で再発リスクを想定していきます。この結果にステージの結果を重ねますので、早期がんでもバイオロジーが悪く再発リスクが高いと判断すると主治医は抗がん剤を推奨しますし、逆にリンパ節転移があっても数が少なく、バイオロジーが良ければ、抗がん剤を回避する事もあります。

がんを摘出する手術には、乳房部分切除手術(乳房温存手術)と乳房全摘出術の2つの方法があります。術式による予後の差はないとされており、術式選択に関しては主治医との相談で決定する事が多いと考えます。どちらの手術にもメリット、デメリットがあり、病変の状態や患者さんの希望、背景、生き方等を踏まえ、よく検討し決定する事をお勧めしております。
乳がんは化学療法(抗がん剤)も比較的効くがん種ですので、再発リスクが高く、抗がん剤の治療効果が期待できる場合は抗がん剤を行う事を強くお勧めします。
ただし、抗がん剤を行ったからといって必ず再発しないという事ではなく、行わなかったからといって確実に再発するわけでもありません。あくまで、再発する確率を治療する事で下げていくだけであり、どれだけ治療を重ねても再発率が0%になる事はありません。
その一方で、再発すると(部位にもよりますが)基本的には治癒は難しく、薬物療法で永続的に治療をしていく事になる事がほとんどです。
術後の抗がん剤を行うか否かは非常に難しい選択であり、主治医、ご家族とよく相談で決定する事を強くお勧めします。
また、HER2蛋白という特殊な蛋白ががん細胞膜の表面に沢山存在している(過剰発現)乳がんの場合は抗HER2製剤と呼ばれる分子標的治療薬が良く効く事がわかっており、抗がん剤との併用で効果を発揮します。
ただ、HER2蛋白の過剰発現している乳がんは進行速度の速い乳がんですので、予後が良くありません。術前後に抗HER2製剤と抗がん剤の併用を行う事が強く推奨されます。
内分泌療法は女性ホルモンをブロックする事で、女性ホルモンの影響を受けやすい乳がんの増殖を抑えます。術後の再発予防だけでなく、対側乳房に乳がんが発症する事を抑える効果もある事が証明されています。
放射線療法は局所での乳がんの再発防止を目的として行われます。乳房部分切除術を選択した場合は温存乳房内再発を予防する意味で放射線照射を行う事が強く推奨されます。
乳房全摘出術を選択した場合は局所再発率が下がりますので、原則放射線照射の適応はありませんが、最近は腋窩リンパ節に転移を認めた場合は胸壁や所属リンパ節群に放射線照射をする事も増えてきています。
乳がんはセルフチェックで発見できるがんの1つです。ぜひ入浴や着替えの際に自分の乳房を見たり触ったりして確認してください。その際にしこりを探すのではなく、いつもと乳房の状態が変わらないかを確認するようにしてみてください。
乳房は皆さん、大きさも形も硬さも違います。ご自身の乳房の状態を把握しておき、いつもと異ならないかを見ていく事で変化に気づく事が可能になると思われます。
セルフチェックに加え、定期的な乳がん検診を受けて早期発見につなげましょう。

乳腺炎 (Mastitis)

乳腺に母乳が詰まって生じるうっ滞(滞り)製乳腺炎や、細菌感染によって起こる可能性乳腺炎があります。
うっ滞性乳腺炎は妊娠期や授乳期に生じる乳腺炎で症状は似ていますが、原因が異なるため治療方針は全く異なります。詳細は「妊娠期・授乳期乳腺炎」の方をご参照ください。
細菌感染による可能性乳腺炎は炎症の3兆候である乳房の皮膚の発赤、熱感、痛みなどがみられ、膿瘍と呼ばれる膿の貯まりが形成されると化膿性乳腺炎となり、やがて皮膚に瘻孔を介して膿を排出するようになります。全身の症状として、発熱、悪寒、関節痛、頭痛、腋のリンパ節の腫れなどがみられる事もあります。化膿性乳腺炎の場合、抗生剤や消炎鎮痛剤の投与に加え、皮膚を切開して膿瘍から膿を排出する処置(ドレナージ)が行われる事があります。非常に長期の治療になる事が多いです。

乳腺症 (Mastopathy)

乳腺症とは、30〜40歳代の女性に多くみられる乳腺の非腫瘍性・非炎症性の病変群の総称であります。総称ですので乳腺症に含まれる病態は数多く存在します。
組織学的には増殖性の変化や腺管の減少や線維化などの退行性変化も含み、いくつかの組織像が混在している事も良く見られます。
代表的なところでは嚢胞、乳管過形成、腺症、アポクリン化成、小葉過形成、線維腺腫症等が含まれます。
悪性疾患は乳腺症には含まれませんが、異型を伴う増殖性病変(異型乳管過形成等)は乳がんの発症リスクが高くなると言われています。
逆に嚢胞やアポクリン化成の様な非増殖性病変では乳がんの発症リスクは上がらないとされています。乳腺症は良性疾患の総称であり、年齢とともに消退してくる事も多く、治療は基本的にありません。画像形態的に悪性疾患との鑑別が難しい病変(硬化性腺症等)もあり、経過観察は必須で画像変化が生じてきた時は細胞診や組織診の適応となります。

乳管内乳頭腫 (Intraductal papilloma)

30代後半から50代に多くみられる、乳汁の通り道である乳管内の上皮細胞が乳頭状ないし樹枝状に増殖して生じた良性腫瘍です。主に乳頭近くの太い乳管に生じる事が多く、嚢胞状に拡張した乳管内に生じると嚢胞内乳頭腫とも呼ばれ、嚢胞内乳がんとの鑑別が重要となってきます。
症状としては乳頭から透明や薄黄色、血液が混じった赤や褐色の分泌物がみられる事があります。画像検査では境界が明瞭な腫瘤や乳管の中に腫瘍が存在する形を呈し、非浸潤がんとの鑑別が非常に難しく、年齢的に30代や40代は良性の乳頭腫が多く、高齢になると乳がんの可能性が高くなるとも言われています。
乳管内乳頭腫は基本的に経過観察となりますが、血液の混じった分泌物が出続ける場合や検査で悪性の可能性が否定できない場合などは切開生検が必要になる事もあります。

線維腺腫 (Fibroadenoma)

20代から30代の女性に多くみられる乳房の代表的な良性腫瘍です。主な症状は乳房のしこりで、触ってみると表面が平滑でよく動きます。線維腺腫が乳がんになる事は基本的にはありませんので、線維腺腫の診断がつくと基本的に治療は不要ですがフォロー検査は推奨されます。
線維腺腫は一般的には2cm前後の大きさまでしか成長しませんが、稀に巨大化する事が報告されており、3cmを超えてくる場合や急速増大してきた場合は後に述べる葉状腫瘍との鑑別の必要もあり、切除をお勧めする事があります。
線維腺腫自体は年齢を重ねると退縮し、やがて腫瘍内の組織が壊死し石灰化を形成していきます。マンモグラフィで大きな石灰化が認められた時は古くなった線維腺腫と判断されます。

葉状腫瘍 (Phyllodes tumor)

乳腺に発生する比較的まれな腫瘍で広い年齢層に生じますが40代後半に多くみられるとも言われています。組織学的に良性、境界型、悪性に分類されており、50%以上が良性で、約25%が悪性といわれています。
画像所見は線維腺腫とほぼ鑑別が出来ませんし、細胞診でも鑑別はほぼ出来ません。組織診でも線維腺腫との鑑別は難しく、組織診で葉状腫瘍の診断で切除したら最終診断が線維腺腫という事は珍しくありません。逆のケースも同様にありえます。
ただし、一般的な発生頻度では圧倒的に線維腺腫の方が多く、葉状腫瘍は比較的稀です。
組織診で葉状腫瘍の良悪を診断する事も難しいため、葉状腫瘍と診断がついた場合は良悪の鑑別のために原則外科的切除となります。また、良性であっても局所再発を起こす事があり、局所再発を繰り返すうちに悪性度が増す事もあるため、厳重なフォロー検査が必要です。
悪性の場合でもリンパ節転移する事は稀ですが、肺転移が多く、急速進行、急速増大が多く、抗がん剤等に治療抵抗性の事が多いため、ある意味、乳がんより厳しい病気と言えます。